マフラーに関する法令について"

マフラーに関する法令について

マフラーなどのEXHAUSTパイプは自動車に関する法的規制を受けます。
マフラー交換はしたいけど、保安基準適合・JASMA認定品って記載があるけど、何のことだかよくわからないし、このマフラーって車検に通るの?と疑問を抱いているお客様も多いのではないかと思います。
また、近年、マフラーに関する法令の改正で、お客様のお車の年式により、関連する法令が異なってきます。
ここではお客様に安心してマフラーを使って頂くために、マフラーに関する合法基準(保安基準・JASMA基準)の情報(日本国内の場合)を簡単に整理してみました。(※条文は要約です。)

国土交通省の道路運送車両法 第3章「道路運送車両の保安基準」(要約)

巷でよく耳にする保安基準とは国土交通省の道路運送車両法 第3章「道路運送車両の保安基準」のことです。
保安基準というのは簡単にご説明致しますと、国が定めている基準で、この基準に適合していない車は日本国内の一般公道での走行は禁止されております。保安基準 = 車検の基準となります。
主にマフラーに関するものは、第3条 最低地上高・第18条 車枠及び車体・第30条 騒音防止装置・第31条 ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置 の条項になります。
(以下の内容は、条文そのままでなく、簡単な解釈になっています。)

第3条 最低地上高

自動車の設置部分以外は安全な運行を確保できるものとし、地面との間に以下に示す基準を満足していなければならない。

  1. 自動車の最低地上高(全面)は9cm以上であること。
  2. ホイールベース(Wb)区間の地上高は次式に与えられた数値以上であること。
    Wb×1/2×sin2°20′+4 (sin2°20′=0.04とする。)
  3. オーバーハング(Ob)区間の地上高は次式に与えられた数値以上であること。
    Ob×1/2×sin6°20′+2 (sin6°20′=0.11とする。)

最低地上高

第18条 車枠及び車体

車体の形状その他自動車の形状は、鋭い突起がないこと、回転部分が突出していないこと等、他の交通の安全を妨げるおそれが無いものであること。

突起物

平成29年3月31日まで猶予されていた、平成21年1月以降の生産車から適用される 『外部突出に係る基準(道路運送車両法 保安基準第18条 「車枠及び枠車体」細目告示別添20「外装の技術基準」』ですが、 国土交通省が、平成28年10月7日付けで、外装基準の改正及び適用猶予の解除を正式に発表しました。


国土交通省の報道発表資料はこちら >>>www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000220.html


これにより、後付け交換用マフラーの突出に関しては、年式に関わらず、従来通りの上記基準になります。

※弟1節(自動車メーカーの新車で登録前の車両)については『外部突出に係る基準 (道路運送車両法 保安基準第18条 「車枠及び枠車体」細目告示別添20「外装の技術基準」』が適用されております。

第30条 騒音防止装置

【平成22年3月31日までに生産された車両】

  • 内燃機関を原動機とする自動車には、騒音の発生を有効に制御する事ができる消音器を備えなければならない。
  • 自動車は、騒音を著しく発生しないものとして、騒音の大きさ等に関して近接排気騒音・加速走行騒音・定常走行騒音の基準に適合するものでなければならない。
    (定常走行・加速走行騒音は継続検査項目から除外されております。車検時は近接排気騒音のみとなります。)

【近接排気騒音の測定方法】


  • 試験車輌・試験マフラーは十分に暖気を行った後に行う。
  • 試験場所は出来るだけ周囲からの反響を受けない乾燥した平坦な場所とし、その場所の暗騒音は自動車騒音の10db以上小さくなくてはならない。また、風速は5メートル以下の状態。
  • 騒音計はJIS C 1505-1988「精密騒音計」に準じた性能を有し、計量検定 を定期的に受け合格しているものを用い、騒音計の設定は周波数特性がA特性、動持特性はFASTとする。
  • マイクの位置はマフラー出口に水平な 高さ、かつ、中心方向へ向け、 外側に45°、50cmの位置に設置。
  • 車輌は停止状態でギアはニュートラル位置にて、最高出力の出る回転 数の75%の回転数までエンジンを回した状態を一定時間(一般的に5秒 以上)保持し、アクセルを離しアイドリング状態になるまでの最大音量 値を測定。  計測は2回を行い、大きい方の音量を採用する。 但し、2回 の音量の差が2db以上ある場合、その数値は無効とする。

近接排気騒音

【平成22年4月1日以降に生産された車両】

下記の項目が今までの規制に追加となります。


1.騒音低減機構を容易に除去することができる構造の禁止
(簡易的に着脱可能なインナーサイレンサー等無しで近接排気騒音96dB以下、加速騒音82dB以下をクリアしなくてはならない。)
2.加速走行騒音防止性能の義務付け
使用過程車(平成22年4月1日以降の生産車に限る)について、今までの近接排騒音に付け加え、そのマフラーに対し、「加速走行騒音を有効に防止するものであること」が新たに追加されます。具体的には下記のA又はBの基準に適合するものとします。
(乗車定員11人以上の自動車、車輌総重量が3.5トンを越える自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車は除く。)

A.次のいずれかの表示があるマフラー
  1. 純正品表示(車両型式認証を受けた自動車等が備える純正マフラーに行う表示)
  2. 装置型式指定品表示(自マーク)
  3. 性能等確認済表示(登録性能等確認機関が確認した交換用マフラーに行う表示)
  4. 国連欧州経済委員会規則(ECE規則)適合品表示(Eマーク)
  5. 欧州連合指令(EU指令)適合品表示(eマーク)

【性能等確認済表示の認証プレート例】

性能等確認済表示の認証プレート
B.次のいずれかの自動車等が現に備えているマフラー
  1. 加速走行騒音レベルが82dB(原動機付自転車は79dB)以下である自動車等。
  2. 加速走行騒音レベルがECE規則又はEU指令に適合する自動車。

【平成28年10月1日以降に生産された車両】

2016年4月20日に「使用過程時において新車時の騒音から悪化しないこと」を確認する「相対値規制」などが施行されましたが、「2010年マフラー規制(2010年4月1日施行)」で定められた、「マフラー性能等確認制度等」に基づき、性能等が確認されたマフラーに交換したものにあたっては、「相対値規制」は適用されず、当面、従来の「絶対値規制」が引き続き適用されます。


国土交通省の報道発表資料はこちら >>>https://www.mlit.go.jp/common/001128252.pdf

第31条 ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置

  • 自動車は運行中ばい煙、悪臭のあるガス又は有毒なガスを多量に発散しないものでなければならない。
  • 自動車は、排気管から大気中に排出される排出物に含まれる一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、粒子状物質及煙を多量に発散しないものとして、有毒なガス等の発散防止装置機能を持っている「触媒」が装着されていなくてはならない。
  • 自動車の排気管は、排気ガスにより、乗車人員、通行人等他の交通に傷害を与える恐れが少なく、制動装置等の機能を阻害しないように、取付しなければならない。

ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置


日本自動車マフラー協会(JASMA)のJASMA基準(要約)

「保安基準」の他にもう一つよく耳にする基準があります。「JASMA基準」です。
これは「日本自動車マフラー協会(JASMA)」が制定した基準で、保安基準を遵守した基準です。
このJASMA基準に則した製品を製造し、JASMAの認定を得た製品が「JASMA認定品」となります。
JASMAは日本唯一のマフラーのアフターマーケットの専門機関です。
保安基準との主な違いは、近接排気騒音値の規定値を保安基準よりも厳しい数値としております。
また、インナーサイレンサーは無しの状態でJASMAの定める近接排気騒音値をクリアーしなくてはなりません。

JASMA基準の近接排気騒音